Azure AI Services(旧Azure Cognitive Services)とは?サービスの種類や使い方を解説

公開日:2024年4月18日最終更新日: 2024年4月18日

これまでコンピュータで代替できなった作業を、最新AIの活用によって解決できるケースが広がっています。音声や画像などのコンテンツを人間と同程度に認知できるようになり、人間の目や耳で判断していた作業が代替できるようになりました。さらに、言葉で命じることで高品質の成果物をAIが作れるようになり、幅広い用途で使われています。

本記事では、多くのAIサービスを提供するAzure AI Servicesの特徴を紹介し、インテリジェンスな検索サービスAzure AI Searchの使用例を解説していきます。

Azure AI Services(旧Azure Cognitive Services)とは

Azure AI Services(旧Azure Cognitive Services)は、Microsoftの最新AI基盤を利用して音声や画像を人間のように解釈したり、作り出したりするAIサービスを提供するプラットフォームです。業界を問わず対応できる汎用的なAIモデルを備えており、言葉や物体を認識したり、テキストや音声に変換したりできます。

また、AIの学習や実行に必要なサーバーリソースを確保することなく、Azureの管理画面やWeb API経由から各種サービスが簡単に利用可能です。各種サービスでは音声、画像、自然言語など扱うコンテンツごとに特化したモデルが利用されており、それぞれ内容や料金体系は異なります。

サービス単体で見るとシンプルな内容ですが、それゆえにアプリケーションに組み込みやすく、また複数サービスを組み合わせたAIシステムへの活用が期待できます。

Azure AI Services(旧Azure Cognitive Services)の提供サービス

Azure AI Servicesは、様々なAI機能を包括的に提供するサービスです。例えば以下のAIサービスが提供されています。

  • Azure AI Search
  • Azure OpenAI Service
  • Azure AI Speech
  • Azure AI Language
  • Azure AI 翻訳
  • Azure AI Vision

使用した分だけ支払う従量課金制のサービスで、それぞれ単独で利用できます。なお、サービスによっては無料枠があるため、お試しでの一時利用も可能です。また、アカウント新規登録時に得られる無料クレジットも活用できます。

マルチモーダル検索サービス「Azure AI Search」(旧Azure Cognitive Search)

Azure AI Searchは、文章や画像、グラフが混在するコンテンツを探しやすくする検索サービスの構築プラットフォームです。検索対象のコンテンツに自動的に意味付けしたり、文章を解釈したタグ付けしたりすることで、自然言語での曖昧な検索を可能にします。

毎月50MBまでの検索インデックスを無料で作成できます。

生成AIモデルが使える「Azure OpenAI Service」

Azure OpenAI Serviceでは、OpenAIで提供される下記のAIモデルをAzureのAPIやSDKを通じて簡単にアクセスできます。

  • 様々な質問に回答できるGPT-4GPT-3.5
  • 文章を分類できる埋め込みモデル
  • 言葉で画像作成を指示できるDALL-E
  • 音声のテキスト変換や翻訳ができるWhisper
  • 音声を生成するテキスト読み上げモデル(プレビュー版)

無料枠はありませんが、少量なら1回数円単位で利用できるため低コストでお試しが可能です。

テキスト読み上げや文字起こしができる「Azure AI Speech」

Azure AI Speechは音声とテキストの相互変換や音声翻訳に活用できるAIサービスです。例えば、会議の議事録を自動作成や、音声によるコマンド入力の実装などに応用できます。

無料枠では、5時間分の音声をテキストに変換したり、最大500万文字のテキストを音声に変換したりと一部機能のお試しが可能です。

質問に自動返答する「Azure AI Language」

Azure AI Languageは、自然言語の扱いに特化したサービスで、テキストを要約したり、感情や重要概念を抽出したりできる言語モデルを備えています。また、Q&Aのチャットボットの構築や、音声認識と組み合わせた音声応答システムに応用できます。

なお、月5,000件までのテキスト処理なら無料でお試しできます。

多言語間の翻訳サービス「Azure AI 翻訳」

Azure AI翻訳は、違和感のない流暢な翻訳ができるニューラル機械翻訳サービスで、専門用語に対応するように自社用のモデルを作成できます。また、多言語の文章が含まれるドキュメントでも翻訳が可能で、グローバル向けの資料作成に活用できるでしょう。PDF、HTML、Excel、PowerPointなど様々なドキュメントを翻訳できます。

無料枠では、月200万文字分のテキストファイルを翻訳可能です。

顔認証やOCRに使える「Azure AI Vision」

Azure AI Visionは画像認識に特化したAIサービスで、次のような用途で活用できます。

  • OCR:社内書類、請求書、領収証、名刺などの電子データ化
  • 画像分析:画像内の物体や人物の特徴をタグ付け
  • ビデオ分析:動画の内容を分析して検索インデックスを作成
  • 顔画像認識:人の顔を検出して本人認証をしたり、顔にぼかしを入れたりする

月5,000件までは無料なので、画像認識の精度の確認に活用できます。

その他のAIサービス

その他にも下記のようなAI技術を応用したサービスが提供されています。

Azure AI Document Intelligence(旧Form Recognizer)

グラフィカルな図や表、グラフを含むドキュメントから、特徴的な情報を構造化データとして出力して蓄積されます。

Azure AI Content Safety

テキストや画像などのコンテンツから不快・危険・有害とされる内容を検出します。

Azure AI Video Indexer

動画の見どころを抽出したハイライト動画の作成に利用できます。

Azure AI Search(旧Azure Cognitive Search)の使い方

ここからはAzure AI Serviceの使用例として、高度な検索サービスを実装できるAzure AI Searchの使い方を紹介していきます。

AI Serviceを作成

まずはAI Serviceを使うための土台を作成していきます。Azureポータルを開き、「AI+Machine Learning」カテゴリにあるサービスから「AI Search」をクリックしましょう。

続いて「作成」をクリックし、登録画面に進みます。

登録画面では次の4点を入力します。

  • リソースグループを入力(なければ新規作成)
  • サービス名に適当な名称を入力
  • 場所はJapan Eastを選択
  • 価格レベルはFreeを選択

しばらくするとAI Serviceのデプロイが完了します。

データのインポート

次に検索データを準備しましょう。ここでは用意されているサンプルデータを使用します。作成したAI Serviceの画面で「データのインポート」を選びましょう。

「データソース」で「サンプル」を選び、「hotels-sample」を選択して次に進みます。

その後は特に設定を変えずに、画面下部の青いボタンを「スキップ先~」、「次:インデクサーの作成」、「送信」の順に押していきましょう。

処理が完了すると検索インデックスが作成されます。

検索のテスト

インポートしたデータで検索を試してみましょう。作成したAI Serviceの画面で「インデックス」を選びます。

続けて「hotels-sample-index」を選び、検索画面に進みます。

画面右側にある「表示」から「JSONビュー」を選択すると、クエリ入力欄が表示されるので、下記を入力して「検索」ボタンを押しましょう。

{
    "search": "HotelName:(hotel NOT motel) AND Tags:conserge~",
    "queryType": "full",
    "select": "HotelName, Category",
    "count": true
}

上記のクエリでは、ホテル名に「hotel」が含まれて、かつタグ名に「conserge」が含まれるデータを検索します。ただしconsergeは誤字で、正しくはconcierge(コンシェルジュ)を想定したクエリです。AI Searchでは表記揺れや類似表現に対応するあいまいな検索が可能です。

続いて、地理的に近いホテルの検索を試してみましょう。次のクエリは指定した緯度経度を基準に10km圏内のホテルを検索します。

{
    "search": "*",
    "filter": "geo.distance(Location, geography'POINT(-122.335114 47.612839)') le 10",
    "select": "HotelId, HotelName, Address/City, Address/StateProvince, Location",
    "count": true
}

実行してみると指定位置から近い順にホテルが表示されます。

AI Searchでは上記以外にも、検索意図が不明確だとしても最も近しい回答を出す検索手段を提供しています。

まとめ

本記事では、Azure AI Services(旧Azure Cognitive Services)で実現可能なことや使用例を紹介しました。

提供するAIサービスの種類が豊富で、音声、画像、テキストを人間に代わって処理するような業務アプリケーションに応用できます。顔認証、音声入力、チャットボットなどは業界を問わず実例が増えており、今後も性能や実現できることが増えていくでしょう。まずはAI活用のスタートとして、Azure AI Servicesを試してみてください。

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