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【こんな方におすすめ】
Azure Front Doorの導入や構成を検討しているインフラ担当者・Web担当者
- Azure Front Doorの概要と解決できる課題
- Azure Application Gatewayとの使い分け
- 表示速度の改善効果を実際に確認してみる
目次 <Contents>
Azure Front Doorで解決できるWeb運用の課題
近年では、Webサービスや業務システムをグローバルに公開するケースが増えており、単純にWebサーバを公開するだけでは安定した運用が難しくなっています。
実際の運用では、
- 海外からのアクセスで表示速度が遅い
- アクセス集中時にサーバが不安定になる
- DDoS攻撃や不正アクセス対策が必要
- 障害時に別リージョンへ切り替えたい
- WAFやCDNを個別構築すると運用が複雑になる
といった課題が発生するケースが少なくありません。
特に近年は、アクセス高速化・高可用性・セキュリティ対策を同時に求められることが増えており、複数サービスを組み合わせた設計や運用負荷が課題になりやすくなっています。
こうした課題をまとめて解決できるサービスとして利用されるのが、Azure Front Doorです。
Azure Front Door は、Microsoftのグローバルネットワークを利用して、Webアプリケーションの高速化・負荷分散・セキュリティ対策を統合的に提供するサービスです。
Azure Front Doorの主な利用シーン
実際の現場では、以下のようなケースでAzure Front Doorが利用されることが増えています。
- グローバル向けWebサイト
- ECサイト
- API基盤
- 動画配信サービス
- 複数リージョン構成のWebシステム
Azure Front Doorを利用するメリット
Azure Front Door は、従来、提供されていた次の3つの個別サービスが統合されたものです。
- Azure Front Door(Classic)
- Azure CDN Standard(Classic)
- Azure WAF
CDN・WAF・グローバルロードバランサーを個別に設計すると、実際の運用では、
- 管理箇所が増える
- 設定ミスが発生しやすい
- 障害切り分けが難しい
- セキュリティポリシー管理が煩雑になる
といった問題が起きやすくなります。
Azure Front Doorでは、これらを単一サービスとして管理できるため、構成のシンプル化や運用負荷削減につながります。
CDNについては次の章で、WAFについては「高い防御システムWeb Application Firewall (WAF) の概要とAzureでの利用方法」を参照ください。
Premiumで利用できる高度なセキュリティ構成
現在のAzure Front Doorは、StandardとPremiumの2種類が提供されています。
特にPremiumでは、Private Link連携によってオリジンサーバをインターネット非公開にできるため、セキュリティを重視するシステムで採用されるケースも増えています。
実際には、次のような構成もよく利用されています。
- App Service を Private Endpoint 化し、Front Door Premium 経由のみアクセスさせる
- Storage Account の公開範囲を制限し、Front Door 経由でコンテンツ配信を行う
さらに、TXTレコードによるドメイン検証にも対応しており、サブドメインテイクオーバー対策が強化されています。
Azure Front Doorで利用できるCDN機能とは
CDN(Content Delivery Network)は、世界各地に配置されたエッジサーバを利用して、ユーザーへ高速にコンテンツを配信する仕組みです。
例えば、日本に配置されたWebサーバへ海外ユーザーが直接アクセスすると、物理距離の影響で通信遅延が発生しやすくなります。
CDNを利用すると、ユーザーに近いエッジ拠点からコンテンツを配信できるため、表示速度改善や通信負荷軽減が可能になります。
Azureでは、従来Azure CDNとして提供されていた機能も、現在はAzure Front Door に統合されています。
CDNが利用される主なサービス
実際の運用では、次のようなレスポンス速度が重要なサービスで広く利用されています。
- 動画配信
- ライブ配信
- ECサイト
- ゲーム配信
- グローバル企業サイト
キャッシュによる負荷軽減
静的コンテンツをキャッシュすることで、オリジンサーバへのアクセス負荷を削減できる点も大きなメリットです。
実際、アクセス急増時にCDNキャッシュによってバックエンド負荷を大幅に抑えられるケースもあります。
Azure Application Gatewayとの使い分け
Azureには、同じL7ロードバランサー系サービスとして Azure Application Gateway があります。
どちらもHTTP/HTTPSレベルで負荷分散できますが、用途は大きく異なります。
Azure Front Door と Azure Application Gateway の主な違いは、以下の通りです。
| 比較項目 | Azure Front Door | Application Gateway |
|---|---|---|
| 配置範囲 | グローバル | リージョン |
| 主な用途 | CDN・高速配信 | 内部負荷分散 |
| CDN | ◯ | × |
| WAF | エッジWAF | VNET近接WAF |
| 強み | グローバル最適化 | 詳細ルーティング |
Azure Front Door が向いているケース
- グローバル向けサービス
- CDN利用
- 複数リージョン負荷分散
- グローバル障害対策
- エッジレベルWAF
- インターネット向け高速配信
Front DoorはMicrosoftのグローバルネットワーク上で動作するため、ユーザーに最も近いエッジ拠点で処理を行えます。
そのため、海外ユーザーが多いサービスや、大量アクセスを想定するWebサービスとの相性が良いです。
Azure Application Gateway が向いているケース
- 特定リージョン内の負荷分散
- VNET内部制御
- 内部システム向け構成
- East-Westトラフィック制御
- 詳細なL7ルーティング
Application GatewayはVNETに紐づくサービスのため、リージョン単位の内部制御に強みがあります。
Azure Front Door と Application Gateway を組み合わせる構成
実際には、次のように組み合わせて利用するケースも多くあります。
- Front Door → Application Gateway → App Service
- Front Door → Internal Application Gateway → AKS
特に本番環境では、
- Front Doorでグローバル入口を統一
- Application Gatewayで内部ルーティングやWAF制御
という役割分担を行う構成が一般的です。
Azure Application Gatewayについては「オートスケール機能と負荷分散サービスAzure Application Gateway」を参照ください。
本記事の内容をまとめた資料もご用意しています。社内共有や比較検討時の参考としてご活用ください。
また、「どちらを採用すべきか判断が難しい」「既存構成に適しているか確認したい」といった場合は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
Azure Front Doorを使ってWebページを高速に表示させる手順
実際の手順をWebページを公開する形でご紹介します。
Azure Front Doorの恩恵を理解してもらうために、Webページのロケーションはアフリカにし、日本のユーザーからアクセスされたときどのような動きになるかというのを体感してもらいます。
1. Azure StorageでWebページを公開する
ストレージアカウントを作成してWebページをアップロードします。
1Azure Portal上から [リソースの作成]→[ストレージ]→[ストレージアカウント]で[作成]をクリックします。
2以下項目を設定していきます。入力したら[Review]をクリックします。
- ストレージアカウント名:世界で一意の値(ここではafricazeadaccount)
- 地域:(Africa)South Africa North
3確認して[作成]。
4ストレージアカウントの作成ができたら、[概要]→[機能]タブ→[静的なWebサイト]をクリックします。
5以下項目を設定していきます。入力したら[保存]をクリックします。
- 静的なWebサイト:有効
- インデックスドキュメント名:公開するWebページのドキュメント名(index.htmlなど)
- エラードキュメントのパス:存在しないWebページにアクセスしたときに見せるドキュメント(404.htmlなど)
6[プライマリエンドポイント]控えておきます。
[$web]をクリックします。
7[アップロード]→[BLOBのアップロード]から公開するWebページドキュメントを選択しペイン中の[アップロード]をクリックします。
8ここでアップロードする index.html の中身は以下のようにイメージファイルを公開するような形にしてください。
併わせてimg.jpgをアップロードします。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>Welcome</title>
</head>
<body>
<h1>welcome to my page</h1>
<p>this page is to test Azure Front Door!</p>
<img src="img.jpg">
</body>
</html>
9控えておいた[プライマリエンドポイント]でブラウザからアクセスすると、アップロードしたWebページが表示されます。
アフリカにあるストレージで公開しているため、画像の描画が遅いと感じると思います。
著作者:kjpargeter/出典:Freepik
2. Azure Front DoorでWebページをバックエンドに指定
1[リソースの作成]→[ネットワーキング]→[Front Door and CDN profiles]で[作成]をクリックします。
2[フロントドアの作成を続行する]をクリックします。
3以下項目を設定していきます。入力したら[確認および作成]をクリックします。
- リソースグループ:適切なグループ
- 名前:任意(ここではglobalzeadprofile)
- エンドポイント名:任意(ここではafricazeadendpoint)
- 配信元の種類:ストレージ(静的Webサイト)
- 配信元のホスト名:設定したプライマリエンドポイントをプルダウンから選択
- キャッシュ中:無効(※後ほど有効にします)
4確認できたら[作成]をクリックします。
5作成したFront Doorのプロファイル→[エンドポイントのホスト名]をコピーし、ブラウザで開くと、公開されたWebページにFront Door経由で接続できます。
3. レスポンス時間を測る
1Front Door経由でWebページに接続する際のレスポンスの時間を測ってみます。手元のPCにWindowsならWSL(Windows Subsystem Linux)、Macならターミナルを開き、以下コマンドを入力します。
```
for i in {1..10}; do curl -s -w "%{time_total} 秒 \n" -o /dev/null https://{エンドポイントのホスト名}/; done
```
1度目の結果(エンドポイントのホスト名)
>1.606513 秒
1.532015 秒
1.527527 秒
0.395487 秒
0.393194 秒
1.517949 秒
1.495270 秒
1.506497 秒
0.395158 秒
1.520488 秒
2続いてエンドポイントのホスト名部分をプライマリエンドポイントに変更してコマンドを入力します。
1度目の結果(プライマリエンドポイント)
>1.577812 秒
1.462469 秒
1.453095 秒
1.463593 秒
1.466108 秒
1.461366 秒
1.470468 秒
1.467195 秒
1.463500 秒
4.821852 秒
多少ですがFront Doorを経由していないプライマリエンドポイントの方がレスポンスが遅いことが分かります。 続いてFront Doorの設定でキャッシュを有効にしてみましょう。
3作成したFront Doorのプロファイル→[フロントドアマネージャー]→ルート内の三点リーダから[ルートの編集]をクリックします。
4[キャッシュ]を有効にし、[クエリ文字列のキャッシュ動作]でクエリ文字列を無視するを選択し[更新]をクリックします。
5もう一度レスポンスの時間を測ります。
2度目の結果(エンドポイントのホスト名)
>1.530911 秒
0.033556 秒
0.033500 秒
0.035081 秒
0.036812 秒
0.035197 秒
0.037285 秒
0.033368 秒
0.072860 秒
0.040751 秒
3度目の結果(エンドポイントのホスト名)
>0.034821 秒
0.041118 秒
0.033913 秒
0.031458 秒
0.032189 秒
0.031118 秒
0.043688 秒
0.036444 秒
0.058028 秒
0.027115 秒
6レスポンス時間が早くなったことを確認できました。先程の設定で[圧縮]を有効にすると更に効果を実感できると思います。
ブラウザからもスーパーリロードなどブラウザのキャッシュを読まずにアクセスしてみてください。
まとめ
- Azure Front Door は、Webアプリケーションの高速化・負荷分散・セキュリティ対策を統合的に提供するサービスです。
- 地理的、ネットワーク的に距離のあるコンテンツでも、Azure Front Doorを使うことによって、素早いアクセスが可能になります。
- 実際の構成設計や導入方針についてお悩みの場合は、お気軽にお問い合わせください。要件や運用方針に応じて、最適な構成をご提案いたします。


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