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クラウド環境の統合監視サービス「Azure Monitor」のメリットや使い方を解説

公開日:2025年11月11日

クラウド環境の統合監視サービス「Azure Monitor」のメリットや使い方を解説
この記事でわかること

クラウドシステムの運用において、安定稼働やセキュリティ強化は重要な課題であり、その解決策を備える態勢づくりが求められます。例えば、システム内の異常を検知したり、悪意のあるアクセスをチェックしたりと、システムの状況の詳細な把握が必要です。しかし、システムが大規模化や複雑化するほど管理コストの増加や人為的ミスの発生につながります。

この記事では、クラウドシステムを安定運用を支える監視ソリューション「Azure Monitor」を解説していきます。システムの可用性を支えつつ、多様なクラウド環境下でも導入できるため、多くの場面で活用が期待できます。

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Azure Monitorとは

Azure Monitorは、クラウドシステムの可用性や保全性を高めるための機能を持つ統合サービスです。システムのパフォーマンス低下や危険な兆候をいち早く察知し、迅速な対処が取れるよう支えます。システムの稼働状況に問題が生じればリアルタイムに通知したり、障害の兆候がないかパフォーマンスの推移を可視化したり、運用業務の自動化することで管理者の負担を軽減します。

元々はリソースの監視サービスという位置付けでしたが、ログ分析のLog Analytics、パフォーマンス管理のApplication Insightsと統合され、ログ調査から原因究明まで一貫したサポートを可能にしました。また、Azure上のサービスではありますが、その他のクラウドプラットフォームを含むマルチクラウドやハイブリッドクラウドにも対応し、それらを一元管理できることから複雑な環境にも適用可能です。

Azure Monitorのメリット

Azure Monitorは大きく分けて次の3つのメリットが挙げられます。

異常検知と迅速な対応

Azure Monitorではシステムの異常を素早く検出できます。例えば、インフラのパフォーマンスログやアプリケーションのトレースログなど様々なログを取得し、稼働状況を細かく把握できるようにしています。また、異常値に達したときに管理者に対してアラートを発することで、初動を早めることができます。具体的には次のような場面で役立ちます。

  • システム障害の事前察知
  • 高負荷時のオートスケーリング
  • 余剰リソースの把握とコスト削減

監視態勢の一元化

Azure Monitorでは、クラウド環境の仮想サーバーやネットワーク、アプリケーションなど各レイヤの監視態勢を一元化できます。各レイヤの稼働状況を把握するためのログやメトリックは、それぞれデータ形式や取得方法も異なりますが、それらの違いをサービス側で吸収してくれます。最終的に1つのプラットフォーム上に集約され、分析や予測でまとめて扱えるようになります。

また、AWSやGoogle Cloudを含むマルチクラウド環境においても共通の枠組みの中で利用できるため、クラウドプラットフォームごとに管理を分ける必要はありません。

視覚化と高度な分析

Azure Monitorには、インフラやアプリケーションの状態確認や異常の予測を行うための分析機能を備えています。各レイヤから収集したログやメトリックをわかりやすく可視化し、直感的な操作で簡単な状況把握が可能です。また、障害の兆候の予測やパフォーマンス低下の原因調査など、さらに詳しく調べたい場合には、検索クエリを用いた高速な分析機能が用意されています。

Azure Monitorを構成するサービス

Azure Monitorはクラウド環境が正常に動作されているかを監視する役割を持つ統合サービスで、元々は独立していた2つのサービス「Log Analytics」と「Application Insights」が統合されています。

2つのサービスの詳細は後述しますが、それ以外では下記のような機能が備わっています。

Azureリソースの監視

Azure Virtual MachinesやAzure Kubernetes Serviceなどのリソースごとに測定データ収集の仕組みが備わっており、それらはAzure Monitorに集約されます。

ワークブック

システムの稼働状況のレポート作成に役立つツールです。メトリックのグラフ化やマークダウン形式のドキュメントなどを組み合わせることで状況説明のレポートを作成でき、状況報告やチーム内での情報共有に活用できます。

アラート

メトリックが閾値を越えたときなどをトリガーとして、利用者にメールで通知を送ることができます。また通知する以外にも、指定したAzure Functionsの実行、外部のAPIエンドポイントへの送信も可能です。

自動スケーリング機能

観測されたメトリックの増減によってスケールアップやスケールダウンを自動化できます。メトリックの閾値や時間をトリガーにしてアクションを実行させ、管理者にメールで通知することができます。また、仮想マシンに限られますが、機械学習によるパターン予測を用いた自動スケールアウト機能もサポートされています。

Log Analytics

Log Analyticsは、インフラやアプリケーションの動作履歴であるログの分析を担うサービスです。Azureリソースから収集したログはワークスペースと呼ばれるデータストアに集約され、Log Analyticsのダッシュボード上でクエリによる柔軟な検索を可能にします。

クエリで集計される結果は様々な用途に活用できます。クエリごとワークブックに引用したり、アラートのトリガーに利用したりと、常に変化するシステム稼働状況を追跡しやすくなります。

Application Insights

Application Insightsは、アプリケーションのパフォーマンス監視を担うサービスです。オープンソースのフレームワークであるOpenTelemetryを土台としており、収集するログやメトリックなどのデータ形式やその収集方法は標準化されたSDKやAPIで共通化されています。そのため、Azure外部のアプリケーションから収集したデータもApplication Insightsに集約が可能です。

Azure Monitorの使い方

ログ検索の方法

Azureポータルにログインし、「すべてのサービス」を開き、「モニター」カテゴリの中から「監視」を選びましょう。

「ログ」の項目を選ぶと、ログの検索画面が表示されます。ただし、収集されたログが存在しないと検索できません。

今回はデモ用に提供されている環境を利用します。Log Analyticsのデモ環境のリンクを開きましょう。

左のメニューアイコンから「テーブル」を選択すると、検索対象のデータを選ぶことができますので、「LogManagement」の「AppRquests」を選びましょう。

「結果」タブでは、下記のように内容が表形式の数値で表示されます。

また、「グラフ」タブでは指定した数値の視覚的なグラフで表示され、グラフの種類や反映したい項目を選ぶこともできます。さらに、KQLモードに変更するとクエリを編集できるウィンドウが表示されます。

アラートルールの作成

ここではAzureのアプリケーション環境構築サービスであるApp Servicesを監視対象に進めていきます。まずは「すべてのサービス」から「App Services」を選び、Webアプリを作成しましょう。

特に必須の設定はありませんが、選択する価格プランによっては料金が発生しますので注意しましょう。

次に、「すべてのサービス」から「モニター」カテゴリの「監視」を選び、「アラート」を開きましょう。続けて「作成」の「アラートルール」に進みます。

アラートルール作成の画面に移ったら、まずはスコープを先ほど作成したApp Serviecesに設定しましょう。

次に条件を設定します。ここでは、シグナル名で「Http 4xx」を選びます。

アクションタブに移ったら、「クイックアクションの使用」を選び、右のパネルで「アクショングループ名」と「表示名」に適当な名称を入力し、アクションでは「メール」を選びましょう。「保存」をクリックすると、左側にあるクイックアクションに反映されます。

最後に、詳細タブでアラートされたときの表示内容として「重大度」、「アラートルール名」を設定しましょう。

Azure Monitorの利用料金

Azure Monitorの料金体系は、利用量に応じて変動する従量課金制で、機能ごとに分けられています。

ログ

インジェスト(データ量にかかる料金)

インジェストプラン料金
補助ログ取り込み:10.466円/GB
ログ処理:21.679円/GB
基本ログ108.392円/GB
分析ログ499.347円/GB

保有延長

機能インジェストプラン保有期間料金
対話型の保持分析最大2年22.426円/月/GB
長期保有分析、基本、補助最大12年4.336円/月/GB

クエリ

機能料金
クエリ1.08392円/GB(スキャンされたデータ)

メトリック

ネイティブメトリック

機能無料枠料金
プラットフォーム
メトリックインジェスト
無制限無料
カスタム
メトリックインジェスト
なし23.921円(1,000万個あたり)

アラート

アラートルール

アラート
の種類
無料枠アラートルール
の料金
時系列
の料金
動的閾値を含む
メトリックアラート
の追加コスト
アクティビティ
ログアラート
サブスクリプションあたり
100ルールが上限
ネイティブ
メトリック
監視対象メトリック時系列
10個/月
14.951円14.951円

通知

通知

機能無料枠料金
メール1,000通/月299.011円
(100,000通あたり)
Webhook100,000件/月89.704円
(1,000,000件あたり)

SMSと音声通話

国別コード音声通話料金SMS料金
日本(+81)10件まで無料
以降、28.4060円/呼出
6.87724円/件

なお、これらの利用料金は2025年10月時点の情報で、東日本リージョンでの料金を1ドル149.505円換算で算出しています。その他のプランや最新の料金についてはAzure公式サイトの価格ページをご参考ください。

まとめ

Azure Monitorは、クラウド環境の監視態勢を一元管理して、迅速な問題解決を可能にする統合監視プラットフォームです。監視対象や収集データの違いを吸収しつつ、データの集約と統一された方法を提供することで、管理面や効率性の面で大きなメリットをもたらします。監視業務のルール化やその自動化を担い、作業品質の均一化や人為的ミスの軽減が期待できます。

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